捨て猫だった「くう」の話3

弱って動けなくなって体も冷たくなっている。
あわてて 持っていたタオルで拭いて手で暖める。弱々しい声でにゃあと一声鳴く。
涙が出てくる。
こんな降りられない所に誰が置いたのだろう。
子猫を捨てた人なのか、それとも子猫を
捕まえてわざとトラックの荷台に置いたのか?
そんな事が頭をよぎるが、今はとにかくこの2匹の子猫を何とかしなくては。
最初のミルクを飲んだ子猫の方は、割りと元気ですぐに落ち着いた。
でも、もう一匹の子猫は衰弱がひどく、ミルクもほとんど飲まない。
毛を拭いてタオルでくるんで暖かくして、家に連れて帰る。
毛布にくるんで暖めて、ミルクをスポイドで飲ませてみる。ほんの少ししか飲まない。
手のひらでくるんで暖めるけれど、体はなかなか暖かくならない。
そのうちだんだん体は冷たくなり、とうとう動かなくなった。
それでも、ずっと手で暖めてみる。数時間後体が硬くなっていのがつたわってくる。
死んだとなかなか認めたくなくて、次の日までタオルの上に寝かせて様子をみていた。
次の日にやっと諦めて丁寧に見送った。
けれどもう一匹の子猫は、びっくりするくらい元気になっていった。